全部を置いて、新境地へ
今回は私の「迷い」と「決断」について、記事に書いていこうと思います。
私は独身時代、大阪で暮らしていました。
音楽が好きだったこともあり、音大へ行き、ピアノ講師をしながら音楽仲間とライブ活動をしていました。
家では毎日ピアノ漬け、教室でも隙間時間には練習……、ライブ前にはオリジナルの曲を弾き語り練習したり、バンドの合わせをスタジオでしたりと、とにかく音楽尽くしでした。
アルバイトを掛け持ちしながら講師業をしていた時期もあったり、1日にライブをはしごした日もありました。
その生活に満足していましたし、大好きな音楽をすることができて、毎日楽しかったです。
しかし、その当時の彼氏は関東の方…。
毎日電話をし、2ヶ月に一度、お互いの地元を行き来し、逢瀬を重ねていました。
適当なお付き合いはしたくない、という双方の考えで、このまま付き合うという事は、結婚するということでした。
結婚するということは、どちらかの県に移住するということ。
彼氏側は自由業だったので、「頼めばこっちに来てくれるかも」と考えていました。
1年経つまでに、何度も「将来どうするの?」という話し合いをしました。
そしてその中で、
- 彼氏側は事情により、地元を離れることはできないということ
- 付き合う中で、将来私が彼氏側(関東)に行けないのなら、別れたほうがいいということ
- だらだら付き合うことはやめること(時間の無駄)
ということが決まっていきました。
私は決断しなければなりませんでした。
- 彼氏を選び、関東に移住する
- 音楽を選び、関西に残る
本当に、何度も何度も天秤にかけました。
ある時はこちらに、ある時はあちらにわずかに傾きながら、決めかねていました。
気づけば付き合い始めて1年半が経とうとしていました。
関東に行く、ということは、それまで一緒にやっていたバンドメンバーや、仕事先に迷惑をかけますし、それ以上に家族とも離れ離れになってしまいます。
関東といっても新幹線一本で行ける距離ではなく、簡単に行き来できるような場所ではありませんでした。
関西に残る、ということは、大好きな音楽を辞めずにすみ、大好きな家族や仲間とも離れなくてすみますが、せっかく見つけ出会うことのできた、大事な人との別れを意味します。
どうすればいいのかわかりませんでした。
考えても考えても、答えは見つかりませんでした。
あちらに行けば、音楽を捨て、家族を捨て、仲間を捨てることになるのではないだろうか。
こちらに残れば、これ以上にいい出会いはもうないんではないだろうか。
ぐるぐると頭の中で何度も同じ問いを繰り返しました。
そして春になりました。
ちょうどその頃、彼氏とは何度目かわからない喧嘩をし、連絡を絶っていました。
同じ頃、私は仕事で行き詰まっていました。
どれだけ働いても、なぜだか出て行くお金。
個人事業主だからということで、自腹で賄うものが多かったからでした。
全く黒字になりません。真面目に働いても、赤字です。
講師業は(恐らく)どこも個人事業主で働くので、"給与"ではなく、"報酬"として賃金を頂きます。
なので手当もありませんし、ボーナスもありませんでした。
月収は恐ろしく低く、ちょうどその頃、貯金の3/1を払わなければならないようなものに登録をしなくてはならなくて、言われるがままに手続きをしましたが、幾ら何でもこんなの払ったら生きていけない、と思い、とうとう仕事を続ける気力がなくなりました。
(後で計算したら、働けば働くほど赤字になっていた。道理で貯金が減っていってたはずだ。)
久しぶりに彼氏と電話した際に、近況報告を受けました。
彼氏の方にも変化があり、それまで住んでいた一人暮らし用のアパートを引き払い、家族向けのアパートへ引っ越したという内容でした。
私が仕事でのことを彼氏に相談すると、「辞めてこっちにくれば?」とさらっと言われたのです。
タイミングってあるのでしょうか。
私はその時、ふっと「それがいい」と思ったのです。
「そうだなあ、そうしようかなあ」とぽろっとこぼした私に、彼氏は「これはもうひと押しで行けるかも」と思ったようで、その日のうちに夜行バスを手配し、話し合いをするために関西にきてくれました。
そして私の自宅で、しっかりと顔を合わせてじっくりと話し合った結果、私は彼の元へ行くことを決心したのでした。
それからはトントン拍子にことが運びました。
仕事を辞め、音楽を辞め、関東へ行き、彼と同棲。
そのまま籍を入れ、正式に夫婦になりました。
そして、本当に本当に幸せ者なのですが、もう弾けないと思っていたピアノも、移住先で続けることができています。
どれだけ考えても答えが見つからなくて、本当に迷っていました。
それでもふとしたタイミングで、答えは見つからずとも、思い切って決断したことが、今に繋がっています。
もちろん大きな決断というのは一度だけでなく、幾度となく訪れるものだと思います。
その決断が正しいのか間違いなのかはすぐにはわかりません。
それでも、自分は一つ、悩み抜いて決断することができた、それだけでとてつもなくすごいことを成し遂げたと、自分を褒めてやってもいい気がします。
長々と読んでくださりありがとうございました。
それではまた……!
Sponsored by イーアイデム